横山光輝三国志第7巻「江東の波乱」

横山光輝 三国志第7巻(潮出版社、1975)N的ストーリー解説
横山光輝 三国志第7巻(潮出版社、1975)

表紙は「江東の虎」こと孫堅であります。そうです、袁紹から食糧を送られずに散々な目に遭ったり、玉璽の箱を歯でガリッと開けた孫堅ですw
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基本データ

もくじ

孫堅立つ
荊州攻略
凶兆
王允のたくらみ
亀裂
絶纓の会

主な登場人物

孫堅、孫策、呂布、董卓、貂蝉、劉表、王允、袁術

ストーリー

第7巻-1 孫堅立つ

公孫瓉の元に身を寄せている劉備に吉報が入ります。公孫瓉が都にプッシュしてくれたおかげで、劉備は平原(へいげん)の相(日本で言う知事みたいなポジション)に任命されます。

 

公孫瓉やるやん!「ひー!」って言ってるだけじゃないね!

 

平原へ向かう劉備に対して、趙雲が「俺も連れてってくれー」と懇願します。しかし劉備は「まだその時ではない」と言い、次の機会があれば共に行動しようと約束するのでありました。

 

と、話は変わって、ここで南陽の太守・袁術(えんじゅつ)が登場します。あの袁紹の弟であります。

兄の袁紹に邪険に扱われご立腹の袁術。国の兵糧が厳しいということで荊州(けいしゅう)の劉表(りゅうひょう)に援助をお願いするが、そのお願いもあっさり却下されてしまうのです。

 

どんだけ人気ないんや・・・

 

怒った袁術は劉表に恨みを持っている孫堅に手紙を出し、共に袁紹・劉表を倒そうと呼びかけるのでありました。

手紙を受け取った孫堅は荊州攻略を決意し(そもそも袁術は眼中にないw)、長男・孫策(そんさく)を連れて軍船500艘で荊州に向けて出陣したのであります!

 

第7巻-2 荊州攻略

孫堅軍は劉表軍の黄祖(こうそ)が城主を務める江夏城(こうかじょう)を攻撃。軍船と城から弓矢の打ち合いが始まるのであります!

孫堅軍は上陸を試みるが、激しい抵抗に遭い一旦退却を余儀なくされます。

ここで孫堅は一計を講じます。小船に船頭だけ乗せて、かがり火を炊き、城近くまで進めて夜襲が来たと思わせる作戦であります。これを毎夜毎夜繰り返して相手を疲れさせるって寸法でやんす。

そして、これが見事に決まるのであります!

 

黄祖軍は夜襲が来たと思い全力で弓矢で応戦します。これが7日間続きます、セブンデイズウォー戦うよ、です。いよいよ黄祖軍の兵士も疲れてきました。

そこにたまたま流れ着いた小船を発見します。その小船には船頭一人とかがり火のみの状態・・・ここで相手の作戦に気付いた黄祖「あの野郎!だましやがったな!!」

その夜、またも孫堅軍の夜襲が来るが、黄祖は「もうその手にはひっかからないぜ!」と弓矢を放つ事もなく静観します。

すると船のかがり火が消され、一気に兵が上陸してくるではありませんか!そうです、今回は兵士が船に乗っていたのであります!!なんてこった、パンナコッタ!!

 

完全に孫堅の術中にハマッた黄祖軍は敗北し、江夏城は孫堅の手に落ちるのでありました。

 

こういう計略が三国志の魅力の一つですね

 

第7巻-3 凶兆

勢いに乗った孫堅軍は劉表の待つ襄陽(じょうよう)城に迫ります。焦る劉表、城で守りを固めることを命じます。

難攻不落といわれる襄陽城、さすがの孫堅もそう簡単には攻略できません。そんな時、大将旗である「師(すい)」の旗が強風で折れてしまいます。

 

ボキッ!!
「これは縁起が悪いやん!」と、部下が退却を進言しますが孫堅は「気にしない、気にしない」と一休さんモード。

 

読者は皆ここで嫌な予感を感じるのです・・・

 

一方、劉表側では「流れ星が孫堅の国土の方に落ちた、これは孫堅にとっての凶兆やで!今がチャンス!」と天文学者(?)みたいな部下が進言します。

劉表は夜になったら孫堅軍の囲みを突破し、袁紹に援軍を要請せよと呂公(りょこう)に出兵を命じます。

その夜、呂公は兵500を引き連れて孫堅軍の中を突破!異変に気付いた孫堅は自ら追撃をします、「待てコラー!!」

山の上で待ち構える呂公、そこに孫堅がやってきます。

 

呂公:「いつやるの?今でしょ!!」
往年の流行語を口にして山の上から大きな石を落とすのであります!!

 

孫堅:「ああっ!!!」
石の下敷きとなった孫堅、志半ばで無念の最期であります、享年37歳。

 

さらば孫堅・・・

 

第7巻-4 王允のたくらみ

都の長安では董卓が絶大な権力を手に入れ、今では誰も逆らえない状態になっておりました。

孫堅の訃報を聞いて高笑いの董卓、「今夜も宴会や!」

 

そんな長安で董卓の横暴に胸を痛める男が一人・・・司徒・王允(おういん)であります、そうです、金持ちです。

王允には自分の子供のように可愛がっている貂蝉(ちょうせん)という大変美しい娘がおりました。貂蝉は恩人である王允が董卓によって苦しめられている状態を何とかしたいと思い、王允にある作戦を持ちかけます。

董卓に仕える最強の男・呂布、この呂布の存在が董卓の強さの象徴でもありました。そこで、貂蝉は董卓と呂布の仲を悪くさせる事が出来ればと考え、自らがその実行役になることを告げるのでありました。

 

その方法は簡単に言うと、ハニートラップですw

 

王允は貂蝉にそんな事はやらせたくないと思いつつも、国のため民衆のために作戦決行を決断するのでありました。

 

泣けるやん!

 

【ハニートラップ大作戦 その①】
王允から呂布へ高価な品をプレゼント→呂布は王允のところへ御礼にやってくる→貂蝉登場、舞を披露→呂布メロメロ→王允、呂布の側に仕えるよう貂蝉に指示→呂布マンモスうれピー♪→王允、後日貂蝉を呂布の家に送りますと告げる→呂布、ルンルンで帰宅

 

【ハニートラップ大作戦 その②】
王允は董卓を自宅での酒宴に招く→董卓は何の疑いもなく王允の屋敷へ→貂蝉登場、舞を披露→董卓メロメロ→「第7巻-5 亀裂」へ続く

 

第7巻-5 亀裂

【ハニートラップ大作戦 その②の続き】
→王允、董卓に娘を差し上げると進言→董卓マンモスうれピー♪→その日のうちに貂蝉は董卓の屋敷へ

作戦は順調に進みます。貂蝉を見送る王允の目に涙がキラリ・・・

 

あああ、切ない!

 

貂蝉が董卓の元へ行った事を知り怒った呂布は王允宅に怒鳴り込みます。

 

呂布:「話しがちゃうやないか!このタヌキオヤジ!」

 

王允は董卓が貂蝉を連れ帰ったのは、タイミングを見て貂蝉を登場させて呂布を喜ばせよう!ってサプライズを考えているからだと嘘をつきます。サプライズを知った呂布は驚き、怒鳴り込んだ事を王允に謝ります、「タヌキオヤジなんて言ってごめんねごめんねー」。

さっそく呂布は董卓に会いに城へ出向きます。しかし、そこで「董卓は貂蝉と一緒にお休みしてる」と聞かされ、急いで董卓の寝室へ入ると貂蝉にバッタリ遭遇!

貂蝉は涙を浮かべながら「董卓に逆らえる者はおりません・・・うぅ」と呂布に泣きつくのです。ショックを受ける呂布。

 

貂蝉の演技ね、嘘泣きね

 

その場は董卓に追い返され、呂布は怒り心頭。しかし部下に諭され体調を崩した董卓を見舞いに行く事になります。

 

董卓の部屋に行くと、看病をしている貂蝉の姿が。呂布と二人きりになった貂蝉がポツリ「つろうございます・・・」。その寂しそうな姿に思わず肩を抱く呂布でしたが、その場面を董卓に見られてしまいます!怒った董卓は二度と顔を見せるなと呂布を追い払うのでした。

その後、李儒の進言により董卓との関係を修復しつつあったが、呂布は気持ちを抑えきれず貂蝉と密会します。そこで呂布は「董卓を殺してでも貂蝉を救う」と決意を口にするのであります。抱き合う二人・・・そこをまたしても董卓に見つかります。

 

これは修羅場になるで!まさに昼ドラやで!

 

第7巻-6 絶纓の会

ブチ切れた董卓は剣を抜き呂布に襲い掛かります。しかし、当然ながらその場で呂布を仕留めることはできなかったので、改めて李儒に呂布を捕らえよと命令を出します。

 

李儒はその時「絶纓(ぜつえい)の会」という逸話を董卓に話します。

 

宴席が暗いうちに王様の妻にちょっかいを出した部下がおりました。すぐに妻は王様にその事を話し、ちょっかいを出した部下の冠に目印をつけたので罰を与えてくれと頼みます。しかし王様はその場で犯人を探し出す事はせず、誰が犯人か分からないように全員の冠を取らせて酒宴を再開させました。

その後、王様は戦乱で絶体絶命のピンチを迎えます。そこに一人の武将があらわれ、背中に何本も矢を浴びながらも王様を救い出します。その武将は自分が宴席で王様の妻にちょっかいを出した犯人だと告白します。そして、あの時の王様の寛大な計らいに感激し、自分の命を賭けて王様を守ると決心したと話し、息を引き取るのでした。

 

李儒はこの王様のように董卓も呂布を許し、寛大な心で貂蝉を呂布に与えてはと進言します。董卓も今は女にうつつを抜かす時ではないと我に返るのでありました。貂蝉のハニートラップ大作戦に暗雲が・・・続きは第8巻で!あばよ!!

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